日本のCBD市場
市場規模
日本のCBDおよびその他非中毒性カンナビノイドの合法市場は、2023年に前年から49%増加し、240憶円に達した。国内のユーザー数は約58万8,000人に上ると推定されている。
カンナビス市場売上成長率(前年比)
日本のカンナビス市場売上高(2023年、概算)
出所:ユーロモニターインターナショナル、Passport
- 今日、日本においては、多くの消費者がCBD製品に対する知識不足から、CBD製品の使用を敬遠している。実際、法律のグレーゾーンに属する成分を含む製品も、市場に出回っているため、その判断は間違っているとは言えない。そもそも、CBDおよびその他非中毒性カンナビノイド製品は、主に小規模な事業者によってオンラインあるいは専門店でしか販売されておらず、消費者にCBD製品市場に関する認識と理解が行き渡っているとは言えない。
- しかし、2023年の改正大麻取締法の可決によって、CBDに関する規制がより明確化される見通しが立っている。2024年以降、さまざまな業界の大手企業が市場に参入し、向こう5年間で売上が伸びることが予想される。 日本国内における健康・ウェルネス製品、特に睡眠の改善と鎮痛効果に対する需要の高まりもあり、 CBDおよびその他非中毒性カンナビノイドは、日本の消費者からも注目を集めるだろう。消費者の理解度が高まり、製品に対する戸惑いや躊躇が減れば、市場の成長も期待できる。
日本市場におけるCBDおよびその他非中毒性カンナビノイドの最もよくみられる製品タイプは、ベイプ式だ。ニコチン入りリキッドの販売は、日本の法律で禁止されていたため、ニコチンフリーおよびタールフリーのCBD入りリキッドは、日本市場での親和性が高いと言える。次に多いのがチンキ、スプレー製品タイプであり、カプセルがそれに続く。これらの製品は、睡眠の質を向上させたい消費者や、リラクゼーションを求めている消費者から特に人気を集めている。
日本のタイプ別CBD製品市場シェア
(小売価格、2023年)
出所:ユーロモニターインターナショナル、Passport
“日本では映画やNetflix、テレビの視聴時におけるCBDの使用が人気である”
出所:ユーロモニターインターナショナル「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:カンナビスサーベイ」2022年8月実施 (n=23,113)
2023年、改正大麻取締法に医薬品Epidiolexの使用承認が盛り込まれた。今後、日本市場において、CBDがどのような製品カテゴリーにおいて拡大するかについては、CBDが医薬品リストあるいは非医薬品リストのどちらに分類されるかによる。医薬品リストへの分類とは、「医薬品のみに成分の使用が許可され、健康食品への使用は許可されないこと」を意味する。一方、非医薬品リストへの分類とは、「医薬品としての効能・効果を主張しない限り、食品衛生法およびその他の規制に従うことで、健康食品やその他製品に成分を使用することが認められること」を意味する。なお、CBDの化粧品への使用には、承認に4,000~5,000万円のコストを必要とするため、CBDを含む化粧品の商品開発はハードルが高い。
企業・ブランド
- 日本では、CBDおよびその他非中毒性カンナビノイド製品の販売で成長を続ける企業がある一方で、最近では市場から撤退する小企業も増えている。これは、大手企業は信頼できる原材料サプライヤーとの直接取引が可能であるのに対し、中小企業や個人事業主は、UPSあるいはFedEXを介した輸入に頼らざるを得ない。そして、彼らが輸入した製品の多くが、THC成分の検出および含有の疑いから検閲の段階で破棄される。結果、大量購入を可能とする大手企業が1kgあたり150,000円~200,000円で卸売りすることが可能であるのに対し、中小企業や個人事業主はその倍の価格を提示せざるを得ないなど、競争力に大幅なギャップが生じるためである。
- UHA味覚糖やチェリオコーポレーションなど一部の大手企業は、すでに国内の一部地域やチャネルでCBD製品を販売している。CBDに対する規制が明確化される改正大麻取締法が施工されると、食品、飲料、サプリメントなど、さまざまな業界の大手企業が市場に参入することが予想される。
流通チャネル
- CBD製品は、THCを含有せず、違法大麻に分類されない限り、あらゆるチャネルで販売することができる。日本国内ではネットワークマーケティング企業が確固たる地位を築いているなど、直接販売は重要なチャネルだ。また、Eコマースは新規参入が容易であることから、同様に注目すべきチャネルである。2022年5月、Amazon Japanが、Amazon USAでは禁止されているCBD製品の販売を開始した。リアル店舗では、セレクトショップやデパート、美容専門店などでCBD製品の流通が見られる。 CBD製品を積極的に取り扱っている小売業者の例として、ビープルやドン・キホーテが挙げられる。また、新たな顧客との直接的な交流を狙ったCBD専門店やCBDカフェも、特に東京で増えている。
- 2023年の改正大麻取締法により、今後、CBD製品の安全基準が明確化される見通しだ。これに伴い、コンビニエンスストアといった身近なチャネルでも、手軽に購入できるCBDドリンクなどの製品が販売されることで、CBDやその他非中毒性カンナビノイド製品販売の急速な拡大につながる可能性がある。